人工知能 〜 機械学習は、どこまで信用できるか


提供: 有限会社 工房 知の匠

文責: 技術顧問 大場 充

更新: 2026年3月19日

あらまし

カントの観念論哲学の問題点を解決するために、18世紀末にドイツに生まれたカントと同時代の哲学者、ヘーゲルは、古代ギリシャの人々が使っていた「弁証法(べんしょうほう)」を使って、ブラトン的な理想論と、アリストテレス的な現実論の調和をとることを提唱しました。弁証法は、古代ギリシャの人々が、よく使っていた、2つの対立する意見の中間をとって、妥協案(だきょうあん)を見出す方法です。

論理と現実の調和を模索

19世紀に、ドイツで活躍した哲学者、カントが提唱した観念論哲学の、本質的な問題点を解決するために、18世紀末の同時代のドイツに生まれたヘーゲルは、古代ギリシャの人々が使っていた「弁証法(べんしょうほう)」を使って、ブラトン的な理想論と、アリストテレス的な現実論の調和をとることを提唱しました。弁証法は、古代ギリシャの人々が、2つの対立する意見の中間をとって、妥協案を見出す方法として、利用していた方法です。

図9. 論理と現実の調和を模索する


今、ある人が最も正しいと考える案を、細かく吟味すると、項目a0と項目a1の2つの内容を合成して構成されたものであることが理解されたとします。そして、その正しいと思われる案とは正反対の案が、項目a0と、項目a1とは異なり、項目a0とa2の2つの内容から構成されているとします。このとき、弁証法では、この対立している2つの案、AとA’とを詳細に比較して、異なっている項目の、a1とa2との中間、またはa1やa2よりも「より」望ましい、b案をつくり、そのb案と、AとA'に共通する項目a0を合成して、新しい案を作れば、その案は、もとのA案よりも望ましい案になっているはずです。これが、弁証法の基礎です。

図9-2. 論理と現実の調和を模索する


例えば、XとYの二人の人が議論をしていて、Xは「あるものの量が1であるべき」だと主張し、Yは「それは2であるべき」だと主張していたとします。この二人の意見をまとめて、合意案を作るために、意見が異なっている「1と2の中間」をとって、「1.5を採用する」ことを合意案にすることを考えるのが、弁証法です。それは、議論で対立している案の中から、極端な案を取り除いて、多くの人々が受け入れられる中間的な案を、最終的な結論として採用しようと言うものです。

それは、イギリス哲学現実を重視した、経験主義と、ドイツ哲学理想を追求しようとする超認識主義の、2つの相対立する思想を調和させ、人間の知識をより高い水準に導こうとする考えだったと言えるでしょう。それは、多くの人間が納得し易く現実にもよく適合する理論の構築を期待させます。